手で確認すると枕は少し湿っぽかった、それが涎か涙かは分からなかった。
白いカーテンから透けて見える向こう側が一層白く見えたので、今日の天気が雪だということに前崎正悟(まえざきしょうご)は気付いた。
部屋を占めているのは機会音と青白い光、机の大半を占拠したパソコンは何かダウンロードしている最中。
画面には「TS3」と映っていたがオレには何のことやらサッパリ。
「新しいゲームか………?」
そこでようやく正悟は自分が寝ていたのが自分の部屋でない事に気付いた。
頭をかきながら状況を整理する、この見知った部屋に何故オレは寝ていたのか……
―――――ああ、そうだ。
昨日は結構飲んだから家に帰らないで、ここに泊まった……?
どうにも頭が重い、昨日(正確には今日未明)飲んだ酒がまだ抜けきっていないらしい。
「ふああぁ……」
何時かも分からない部屋を慣れた手付きで進み、冷蔵庫の中から飲みかけのお茶を引きずり出した。
奥の方からなにやらシャワーの音がしていたような……まぁ、どうでもいいか。
とりあえずリモコンのボタンを押して時間を見てみる。
「………またか」
時間は5時を半時ほど過ぎていた。
「…………今日未明に見つかった?」
正悟は本来の目的を忘れさせられていた。
「……………2人目かよ」
『白銀市惨殺殺人事件』
それが二日前に隣街で起こった事件に付けられた分別番号だった。