涙が… ?
「誰かは、名乗ってないらしいんだけど、香水付きのピンクのハンカチが入っていたんだって。可愛いよね。余程俊ちゃんが好きなんだね!」
雪子は、一層顔を赤くした。
「ねえユッコ、少し休んで行こうよ」
遥は、雪子の手を引いて、公園のベンチに腰を降ろした。
雪子は、遥の顔をまともに見れず、横を向いていた。
「それで俊ちゃんは、ラブレターの人に、どうするって?」
雪子は、赤い顔のままでも、平常心を装った。
「俊ちゃんはね『誰かは分からないけど、気持ちが嬉しい』って言ってたよ」
「へえ、そうなんだ」
雪子は一瞬、嬉しそうな顔をした。
それを見逃さなかった遥は、雪子の両肩に手を添えて言った。
「ねえ、ユッコ。こっちを向いて!」
「ええ?」
「ねえ、ユッコ。私の目を見て!」
「ええ?」
雪子は、渋々遥の方を向き、遥は真剣に、雪子の目を見つめた。
「ユッコ!貴方は、自分の好きな人が苦しんでいても、平気?」
「……?」
「貴方の様に、頭の言い子なら、どうすれば人が喜んで、どうすれば人が苦しむか位、分かるわよね!」
遥は真剣に訴えた。