俺くらいの歳で、しかも中学中退みたいな奴が二人人並みに過ごせるような稼ぎをするためにはこれくらいしかない。
それに…、
それに、こういう仕事をしていれば、いつか、いつの日か“奴”についての情報が掴める可能性も十分に有り得るのだ。だから、その日が来るまで俺はこの仕事を辞めるつもりなんて毛頭無かった。
*
煎餅を六枚ほど食べ終わったあと、俺は手紙を手に取った。まずは受注する順番を決めようと思ったからだ。
よっと、コタツから立ち上がり冷蔵庫に行き緑茶のペットボトルを取りだし中の液体を口に含みながら一枚目を破る。
内容は部屋掃除。場所はここからバスに乗って一時間で行けるところ。二時間程度にしてこの報酬は中々だなっと俺はそっと思った。日にちは月末までと書いてあるからこれは序盤にしようと思いながら二枚目を破る。
破る、内容を読む、という行為を四枚目まで行い最後の五枚目に手を伸ばしたとき、奏が「…また」と声を発したのが聞こえた。
「どうした?」
手紙から反射的に目を離し聞くと彼女は無言でテレビを見るよう促した。