おめめをキラキラ?させている子猫に猫丸は ある重大な事柄を打ち明けます。
この笛、おまえになら使わせてやっても構わんのだが....実は少し問題が発生していてな...。
なんにゃ...?
固唾を呑んだ子猫の前に猫丸は一枚の紙片を差し出しました。
《こにゃにゃちは?
あなたがお持ちの
不思議な笛を
そのうちいただき
に参ります
(^_-)-☆
by怪盗ねこひげ》
...そのうちって、いつにゃ?
今夜あたりだと思う。
急にゃ話にゃにゃ。
届いたのは先月の頭だった気がする。
気の長い怪盗にゃ。
そうだな。
と、そこへ猫キャフェー〔猫屋猫八〕の女将さんの間食に蛙の煎餅を混入し、女将さんが飲み込むのを じぃっと見届けてきた猫八が戻って来て卓上に さらされている怪盗ねこひげが送りつけてきた やたらとカラフルで 凝った装飾の割に中身の薄い予告状を見咎めました。
あ゛ー!おめぇー、なにさらしとんじゃあっ猫丸よーぉっ。
うるさいっだみ声!
人間に耳の先を つままれたときのように片目を閉じて顔をしかめた猫丸の苦情も届かぬ様子で猫八は卓上に乗り上げ子猫と猫丸の間に割って入ります。
子猫は猫八の勢いに気圧されて何も言えません。
別にいいだろ、わめくなよ。
猫八の怒鳴り声の残響が耳から遠退いた猫丸は素っ気なく言いました。
こんなガキんちょに見せんなよ!
猫八は中途半端な尻尾の先で子猫を示しました。
こいつだって俺の笛を探して ここまで来たって言うんだ。
教えてやったて構わんだろが。
笛を盗まれたら、これまでの行動が水の泡だ。
そんなこたぁ、知ったこっちゃなかろうがっ
俺の笛だぞっ
という猫丸の一言で二匹の間に決着が ついたようで、猫八は悔しそうに口を への字に噛み締め感心したように猫丸を ほへーと見上げる子猫を半月型の鋭い目で睨みつけました。子猫が その視線に気づいたなら、毛を逆立てて跳び上がっていたでしょう。
と、言うわけで今この笛は存続の危機にある。
おまえにとっても ゆゆしき事態だ。
だから、おまえが この笛を怪盗ねこひげから守りきれたら貸してやる。