いずれにせよ、ミユキはただ待つしかなかった。
しかし、マモルはなかなか帰って来ない。
もう外はすっかり暗くなっていた。
ミユキは少し心配になり、砂浜へマモルを捜しに出た。
「マモルーッ」
ミユキは、彼女なりの精一杯な声で叫んだが、返事はない。
海岸はどこにも、まったく明かりが無く、真っ暗闇だった。
――空にはハーフムーン。
その月明かりだけが頼りだった。
ミユキは空の月を微かな道しるべに、生い繁る林を抜け、海の家のある場所に行ってみた。
しかし、そこに有るべきはずの建物は一切無く、見事に撤収されてしまっていた。
ラーメン屋も、焼きそば屋も、カフェも、何も無い。
ミユキはその瞬間、膝から崩れ落ち、波の音を遠くに感じながら、いつしか意識を失った。
「――と、アタシの話はここまで。信じてくれた?」
ミユキは友人のサチ子に話し終えると、すっかり氷の溶けてしまった烏龍茶を一口飲んだ。
二人のいる居酒屋は、とても賑やかだった。
「で…それから、どうなったの?」
友人のサチ子は聞いた。
「目が覚めたら、自分ん家のベッドに戻ってた」
ミユキがそう答えると、サチ子はへぇ、と言って枝豆を頬張った。
そしてミユキにこう尋ねた。