私の姉は,どうしようも無い人間でした。
学生の頃から,窃盗・カツアゲ・暴行・無免許運転…など,警察にお世話になりっぱなしでした。
姉がこんな風に荒狂う原因は両親にありましたが…。
まぁ,その話しはさて置き,姉が亡くなる1年前の話しです。
姉はとうとう、薬に手を染めました。
当時付き合っていた男の影響でしょう…。
最初は「こんなのやめようと思えばいつでもやめられんだよ。」と言っていましたが,私はすぐ側で薬の壊さを目の当たりにしました。
日に日におかしくなっていく姉…。目は虚ろで,ヨダレも流したまま。姉は壊れていきました。
世間体を気にする両親は,知人に姉の事を知られるのを恐れて,病院やそういった専門の施設に入れるのを拒み,姉を部屋に隔離しました。
薬が切れると,姉は狂った様に暴れ大声をあげ,薬が欲しいと泣きました。次第に幻覚や幻聴の症状も現れ始め,姉の部屋からは常に誰かと会話する姉の声が響いていました。
「そうだよ…。」とか「君も私と同じだね。」とか「分ったからもう消えて」とか。訳の分らない事ばかりです。
薬が抜けて二週間。
姉は少しおとなしくなり,少しだけですが,まともな会話が出来る様になりました。
私は久しぶりに姉とドア越しに会話しました。
最初は他愛ない話しでしたが,徐々に話しが妙な方に行ってしまいます。
「アキ子(私),頼むわ。ショウタをこの部屋から出してや。」
「は?ショウタって誰?」
「ココにいるんよ。最初は良かったんやけど,最近キショ-てしょ-ない。一緒おると吐気と寒気とまらんのよ。」
「ねぇちゃん,幻覚や。薬のせいなんよ?それ。」
「ちゃうわ。ショウタは幻覚なんかじゃない。おるんよここに。」
続く→