明らかに幻覚を見ていると思いました。
口調はハッキリしているものの,かみ合わない話しが何よりの証拠です。
それからと言うもの,夜になると「わ〜!!!」とか「ギャー!!!」とか「怖い怖い」とか何かに怯える姉の声が家に響きました。
耐え兼ねて,姉の部屋に行きノックをして「ねぇちゃん,アキ子やけどど〜したん?」と聞くと姉は「ショウタや。めっちゃ怖い。アキ子頼むわもう薬やらんからここから出してや。」と泣きながら言われます。
出してあげたくても,この鍵は父親が持っていたので無理でした。
それから3日後。
姉は3階の自分の部屋の窓を割って飛び降り,亡くなりました。
私は両親を恨みました。
世間体を気にする余り,我が子を見殺しにした両親を心底恨みました。
いくら最低の人間とは言え,私にとってはたった一人の姉だったのです。
葬式を済ませ,姉の部屋を整理していると机の引き出しから溢れんばかりに,何かを書いた紙が出てきました。
ある紙には
怖い怖い怖い怖い怖い怖い…
ある紙には
ショウタは片目がナイ
ある紙には
友達なんかじゃないアイツは違う
とか訳の分らない事ばかり書かれていました。
私は両親がこれ以上姉を悪く思わない様に,そういった訳の分らない物はこっそり捨てました。
姉のベットに横になってみました。小さい頃の姉との思い出が蘇り,堪えていた涙がこぼれました。
その夜は,姉の匂いなど感じたくて姉の部屋で寝る事にしました。
続く→