「でも今の話ってさ、もしかしたら全部夢の中の出来事だった…とか?」
サチ子が意地悪く質問すると、ミユキもムキになって答えた。
「そんなこと無いよぉ!ちゃんとホントに体験した出来事だよ。第一、そんな長い間、夢なんて見られる訳ないじゃん。5日も経ってたんだよぉ」
「その…ショウって彼は、戻って来たの?」
サチ子が聞くと、ミユキは寂しそうな顔をして、首を横に振った。
しばし沈黙があった。正確には居酒屋の騒がしさだけが響き渡っていた。
「とにかくミユキの話がさ、本当にせよ夢にせよ、スッキリしない話だよね。不思議な出来事ばっかりで」
「ウン…余りにも不思議な事が続いたから、アタシ…頭がオカシクなってしまったのかと思ってしまって、それで心配になってサチ子に一度聞いてもらおうと、今日誘ったの」
「驚いたわよー。お酒飲めないミユキが居酒屋に誘うんだから!まぁ、話してくれて多少なりともミユキの心が晴れるなら、私もキミの友達やってた甲斐があったと言うものねっ」
そう言ってサチ子が誇らしげな表情を見せると、ミユキはにっこりと微笑んだ。
「今日はサチ子と話せて、ホント良かったぁ。アタシ、トイレ行って来る」
ミユキは立ち上がってトイレに向かった。