さっそく、ルーシーはマルシア邸を訪れた。
久しぶりに見る旧友にエルファは大喜び。
「サァ、遠慮セズニ入ッテ来テ」と、ルーシーを部屋に招き入れる。
「お邪魔しまーす」
ルーシーは興味津々で中へ入って行った。
その様子を、マルシアやジャック、スザンヌたちが隣の部屋から伺っている。
ルーシーはエルファが目を離しているスキに懐のボタンを押した。
超小型の隠しワイヤレスマイクを忍ばせているのだ。
ルーシーとエルファの会話はこのマイクを通じて、マルシアたちのいるスピーカーに流れるようになっている。
2人の間ではどんな会話が行われるのか、マルシアたちは聞き耳を立て始めた。
ルーシーは思った。
お姫様みたいな贅沢な暮らしをしているエルファの部屋って、どんな感じなのだろう?
実際、目の当たりにしてみると…
うーん、なるほど。
中は広く、家具や調度品はみーんな高級品ばかりじゃないの。
意外とキレイにしているのには、驚きだわ。
エルファは昔から、あまり掃除をやりたがらないタチだから…
てっきり、中は散らかっていると思っていた。
マルシアかジャックにやらせているかもね?
「…」
人形部屋で遊んでいた子供たちは、突然の来客人形に目をパチクリ。
自分たちの親以外の大人の人形を見るのは、初めてなのだ。
「こんにちは、可愛い子供たち」と、ルーシーはニッコリと挨拶。
子供たちの方は何も言わず、ただボーっと突っ立っているだけ。
…コラァ、挨拶ぐらいせんかい…と言いたくなるけど、黙っておく。
ガキどもを怒らせたら、口の悪いエルファは何言い出すか分からない。
今はガマンガマン。
まあいくら注意したって、子供たちにはピンと来ないだろう。
母親自体が躾らしい躾はしておらず、放任状態でいるのだ。
だから、注意する事自体が無理なんて話し。
気を取り直して、持参して来た大きな袋をヨイショと床に置いた。
ヒモを外して封を開け始める。
「ソレ、ナアニ?」
「何でしょう?」
「キット、爆弾ネ?」
「え゛…?」
…アンタネェ、どこからそんな発想が出るの?…