ルーシーは笑いをこらえながら、中の物を取り出し始めた。
「子供たちにお土産、用意して来たの」
品物は玩具やぬいぐるみ、大きなボール類だ。
品物を床に並べるルーシー。
「ミャー」
子供たちは目を輝かせながら、品物の周りに集まって来た。
各自、気に入った物を我先と手にする。
自分たちに何か、くれる事だけは認識しているみたいだ。
皆、大喜び!
「ハイハイ! ミンナ、品物取ッタラ奥へ行ッテナサイ!」
エルファは子供たちを掻き分けてテーブルをドンと床に置いた。
「ミャーイ!」
気に入った物を手にした子供たちはダーッと、奥へ引っ込んで行った。
…エルファったら、子供たちにお礼も言わせないの!?…
済ました顔のエルファにルーシーはカンカン。
旧友の常識のなさに、呆れるばかりだ。
部屋の中が落ち着いてから、ティータイムが始まった。
奥でバカ騒ぎしているる子供たちを尻目に、会話が弾む。
「エルファは今、何かやっているの?」
「何モシテナイワ。
家デ、ノーンビリ過ゴシテイルノ」
「ふーん」
…イイわネェ…
「ルーシーハ?」
「うーん別に、何もやってない」
「マア、私ト一緒ネェ」
…ハハハ、一緒じゃないと思うけど…
「仕事しなくて、生活に困らないの?」
「困ラナイワ。遊ブ事ニモ食ベル事ニモ、何不自由シナイノ」
「そうか、エルファの場合はマルシアって言う人間がシッカリしているから…生活面には困らないってワケなんだ」
エルファは両手を広げ始めた。
「周リヲ見テ」
「周り?」
言われるがままに、辺りを見回すルーシー。
「広イオ部屋ニ素敵ナ高級家具、フワフワシタ絨毯、ソレニ可愛イ子供タチ。ミーンナ、私ノ為ニ用意サレタモノヨ。
私ガイカニ、大事ニサレテイルカッテ証ヨ」
「確かに…」
…エルファが単に、人間のスネをかじっているだけだと思うんだけど…
「羨マシイデショウ?」
「うん、まあ」
…別に、羨ましくないけど?…
「私ッテ、幸セダワ」
…あっそ。…
「ところで、子供たちって結構可愛いわね?
街で大評判よ」
エルファは当然のような顔をして、誇らしげに自慢する。