幾度かの調停で、裁判所の方から美佐に年末までに家を退去するようにとの命令が下った。
美佐自身が仕掛けた事の結末は美佐自身にも罰が下ったのだ。それはそうだろう…。気持ちもない結婚生活にあぐらをかいていた二人に何も罰がない訳がない。
淳は転勤族ではあるが、長男だ。淳の実家の考えも聞かずに、美佐側の親戚を含めて家の購入を決めるのはおかしな話だ。
ましてや淳の考えでそうした訳ではなく、美佐が親や親戚を固め、淳に応じさせてきたのだ。
淳自身も支払いの面でも社会的に責任があるが、美佐にも責任がある。罰を受けるなら同等だろう…。
美佐は何とかして自分を困らせている淳に仕返しをしたかった。なんで私が?! 美佐は弁護士に金を出してるとばかりに、まくし立てた。
「人から金を出して雇われてるのに、家を出ないといけないような事態にして、責任を取りなさいよ!!」
美佐側の弁護士も呆れかえる程だった。すぐに淳側の弁護士に折り合をつける電話を入れた。
とにかく家は借家か何かにして、淳側の出費を押さえなければならない。今回の調停の意味も含め、養育費の元々から5万を引いた、月10万とボーナス15万を子供が二十歳になるまで支払いをする事になった。
淳はなんとかならないかとはまだ思っていたが、亜子に家も借りてもらってローンの支払いは4万位になるんだし、養育費をケチる真似はしたくないと言われて、思い直した。
淳は自分たちがなかなか食べていけない状態にも関わらず、引き取れなかった2人の子供達の心配を亜子が懸命にしている事が、更に亜子の心の深さや温かみを感じた。
そんな時、美佐側から給料の半分を差し押さえると言う通知が、淳の会社と自宅宛に届いた…