勇一が利用する、いつものファミレスで、石田は勇一を待っていた。
そういえば、店の飲み会とかでは、一緒になっても、こうして2人で話すのは初めてだ…。
それも、勇一から話しておきたいことがあると、言われている。
…なんだろう?
考え込んでいると、仕事を終えた勇一が入ってきた。
「ああ、すいません、石田さん。時間作ってもらって」
「いえ、いいですよ。こうやって、荒木さんと話すの初めてですから…」
「ありがとうございます」
「ああ、荒木さんまずは、お疲れ様でした。異動先でも頑張ってください」
「ありがとうございます。石田さんも、後任の人に早く慣れてください」
「わかりました。…ところで、話しておきたいことって、なんですか?」
「それなんですが…」
勇一は、石田を前にして、少し緊張して、間を置いてから、切り出した。
「石田さんあの…数日前に俺を訪ねてきた人いましたよね?覚えてます?」
「もちろんです。
それが何か?」
「実は、彼は俺が、15年前に付き合っていた、女性のお兄さんでした…」
「そうなんですか。でも、どうして今頃訪ねてこられたんですか?」
「彼女の願いだったんです…15年たって、俺が幸せであるころに、届けてくれって」
「彼女の願い?どうして15年も…」
「きっと、彼女のなかで、その長さが、本当に必要だったのかもしれないです…俺が別の幸せをつかんでいるだろうとゆう思いが…結果的につかんではいませんけど」
「つまり…彼女を忘れることが出来なかったと?」
「笑っちゃうでしょ?その通りですよ。中村が合コンとかやってくれたり、好意的に思ってくれた人もいるかもしれない…でも、彼女が、由美がいなくなった時、俺はずっと、恋愛とかに心を閉ざしてきたんです」
「それくらい、彼女を愛していたんですね?」
「ええ…だから、嶋野さんが訪ねてこられて、由美が今どうしているか、知ることが出来る。嬉しかったですよ。例え別の幸せをつかんでいたとしても…でも、彼女が今どうしているかも、会えることも、永遠に出来なくなっちゃいましたけど…」
「え?それはどうゆう…」
勇一の言葉に、石田は驚いた。
「永遠にって、どうゆう意味でしょうか?」
「亡くなってたんです…」
「え?」
石田は絶句した。