ほんの小さな私事(45)

稲村コウ  2009-07-13投稿
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「では山崎さん、牧野の事、よろしくお願いします。」
瀧口先生が山崎さんにそう言うと、山崎さんは軽く頷いたあと、私に向かって言った。
「うむ。では、ついておいでなさい。」
「はい。」
弓道場は総合道場の奥にある。施設の大きさも、それなりの規模であった。
弓道場に到着すると、まず山崎さんが、入り口の鍵を開けた。
続けてそのまま奥に入っていくと、通路沿いに男女別の更衣室があり、更に進んだ先に射的場があるようだ。
取り敢えず私は、山崎さんに促され、更衣室に入った。その際、私の名前が入ったプレートを手渡された。
「ロッカーは適当に好きな所を使うといい。一応今まではワシがここも掃除していたが、今後はお前さんにやってもらうのがいいじゃろうな。」
「はい、わかりました。以後は私がここの掃除などしていきます。」
そう私が言って更衣室の奥に行こうとした時、山崎さんが聞いてきた。
「所で、朝の練習はもうすぐに始めるのかね?」
「いえ、取り敢えず今朝は、胴着などを置いて、道場の様子だけ見ておこうと思いまして…。練習は今日の放課後から始めたいと思っています。」
私が山崎さんにそう答えると、彼は続けて言った。
「ふむ、わかったぞな。では、鍵をここに置いておくでな。戸締まりと鍵の管理をお前さんに任せる事にしようぞ。あと、道具も道場の隅にある道具置き場に揃っているで、後でそれも説明しようぞ。では、ワシは先に奥へ言っているで、準備できたらおいでなさい。」
彼はそう言って、奥へ歩いていってしまった。私は山崎さんが更衣室の入り口にあるフックに下げた鍵を確認したのち、自分が使うと決めたロッカーに、先ほど貰ったプレートを取り付け、中に自分が持ってきた道具一式をしまい込み、ロッカーの鍵を掛けて、山崎さんが歩いていった射的場へと向かった。

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