テレビは、ある事件についての報道がされていた。
「ああ…、またか」
俺も奏と同じように呟いた。
画面の中には、ある袋小路の一角が映し出されていた。別に風景画を撮っているというわけではない。
「…通り魔…じゃねえな、ここまで来ると…」
近頃、多発している俺くらいの若輩者ばかりを狙った殺人事件。
以前、奏を迎えに行った場所で断続的に起きており、少なく見積もっても十件近くも事件が起こっている。
被害者の死因は共通していて、心臓の辺りをテニスボールサイズのモノで撃ち抜かれてとのこと。
こんな町中でそんな残忍な殺し方を平然と何人にも行っているとは、相手は中々豪胆な心の持ち主なのか、はたまたただの考え無しなのか。
初めは重火器を用いての犯行と思われていたが、発見場所の近隣の住人の話によると、そのようなものが乱射されるような音など聞いていないらしい。つまりは、一般的に考えれば、害者は別の場所で殺されて運ばれてきたか、犯人はサイレンサーを重火器に取り付けていた、と考えるのが妥当なのだろう。
「…いや」
そこまで考えてから俺は首を振った。
――今のご時世そうも言ってられないか。
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