「ちあきは死なないで。」
親友の言葉は私の心に届いた。
伝わってきた。
自殺をしようとした私。
親友は何度もお見舞いに来てくれていた。
でも、一度も私に自殺をしようとした私を責めなかった。
笑って、生き残ったことを喜んでくれた。
私の怪我の経過を自分のことのように喜んでくれた。
その親友が自分のお母さんが突然、死んでしまったことで私に「死なないで」と言っている。
きっと私のお見舞いに来て言いたかったけど言わなかった言葉だったんだろう。
そして、お母さんの突然の死で私に生きてほしいと強く願って言葉にしてくれているんだろう。
私は一筋の涙を流して
「死なない。
約束する。」
と強い意志を込めて言った。
きっと親友も電話の向こうで泣いているのかもしれない。
私に心配させまいと気丈な声を出して泣いているのかもしれない。
けれど、泣いているの?とは聞かない。
泣いていいんだよ、とは言わない。
きっと今の私がその言葉を言うのは悲しみあおるだけだから。
その代わりにお通夜とお葬式の場所と時間を聞いた。
けれど、親友は
「来なくていい。
今は自分と向き合って。
今は退院することだけを考えて。」
と拒否されてしまった。
自分と向き合って…と言われると私は返す言葉がなかった。
「またお見舞い行くから。
その時に私の話しをゆっくり聞いて。
それと、退院してからお母さんに会いに来て。」
そう言われて電話は終わった。
放心状態の私は携帯を握りしめていた。
何を考えているかわからない間に回診の時間になって医師が入ってきた。
私は慌てて外出したいと訴えた。
親友には来るなと言われたけれど行きたい思いを医師に訴えた。