「二人目……また、高校生かよ」
舌打ちをしたかったのは何故だろう、なんて考えているとドアが開く音が聞こえた。
「おっ、正悟起きた?」
いかにも拭きにくそうな長髪、遠目から見たら女じゃないかと思う程の華奢な体型、
そいつがオレの親友、桜井優輝(さくらいゆうき)、この部屋の主だ。
電子音が一回だけ鳴ったのを聞いて、優輝はパソコンを確認していた。
どうやらさっきダウンロードしていたデータを見ている。
チラッと画面に目を向けると英語がビッシリ、見ているだけで頭が痛くなりそうだ。
「何か取っていたのか?」
「うん、ちょっと面白そうなのがあったから……」
あっそ、とそれ以上は詮索しなかった。
オレはテレビを見る、優輝はパソコンを弄る、親友だからといって会話が止め処ないとか、お互いの考えている事が分かるとか、死線を潜り抜けた末に友情が生まれたとか、そんな事は一切無い。
ただオレが優輝を親友と思っていて、優輝もオレを親友だと言った。
それだけで親友は成り立つ。
いいじゃないか、愛想笑いだけをしているような友達より、ずっとマシだ。
携帯見るとメールが来ていた、送り主は……………………
「げッ!!」
意識したリアクションではないけど、自然に嫌な顔をしてしまう。
それほど前崎誠(まえざきまこと)はオレにとっての嫌悪対象だということだ。
「何?……はは〜ん、さては誠さんからだな?」
親友はオレの反応を見ただけで相手が分かるらしい。
「はあぁ、一体何の用やら…………………………………………………」