誰かを騙すのって楽しいよな。
嘘を鵜呑みにして信じこんでる奴、
騙されたと知って慌てたり怒り狂ったりする奴、
騙しを見破った気になって、でもそれ自体が騙しだって事に気付かないままそれを真実だと思い込んでる奴‥
そんな奴等を観てるのは幸福を感じたりしちまうんだ。
騙しがバレて追い詰められても、そんな状況はサラリとかわせる位の能力はおれにはあるしな。
おれは元々ハーフなんだ。
分かり易く言うと、セレブと下級階層のハーフ。
だからかなり顔が広いし、あちこちにコネがきく。
ここいらのセレブのトップはマブダチだし、
下級の奴等はハナから知恵の足りない連中ときてる。
だからかなりやりたい放題できるんだよね。
セレブ共は己の美意識にしか興味の無い自己チューしかいやがらねえ。
こいつらを観察するのは楽しいから時々助けてやったり、騙して奴等の醜態を眺めてみたり‥
でもたまにこいつらの身勝手さにイラつくんだよな。
段々物足りなさを感じ始めてさ‥
いっそ全部を終わらせてみたくなっちまったんだ。
時間をかけて下準備をして、全員にまんべんなくストレスをくれてやった。
不満とイラつきが十分にたまった所で‥
おれはトリガーを引いた。
セレブのトップの可愛い息子を死においやり、
セレブ連中の醜さを残らずブチまけてやった。
下級の奴等を煽って反逆の決意をかためさせた。
後は勝手に混乱して潰し合いを始めた。
あちこちで共倒れし続ける大混乱。
これをこそ見たかったんだよな。
おれもそれに参加して好き放題暴れてやったよ。
セレブも下級もバタバタと倒れていくなか、
おれもやられちまった‥
最後は下級の一人が火をつけて燃やしちまった。
全部燃えて終わり。
残ったのはごくわずかな虫ケラだけ‥
だと思ってるか?
でも本当は火をつけて燃やしたのはおれなんだわ。
セレブも下級も燃えて灰になる光景は爽快だったぜ。
どいつもこいつも綺麗に騙されやがって‥
おれの名はロキ。
神々の黄昏を引き起こした偉大なる道化師様だ。
さて、今度は人間でも騙してやろうかね。
さあ、お前らの正体。
おれに見せてくれ。