次の朝、ほとんど無意識に電話を2回かけた。
昨日『わかった』って送ったくせに、未練があるのバレバレ。
見事2回ともシカトされたけど。
もし優くんが出たら、私は一体なんて言うつもりだったんだろう。
別れたくない……?
こんな日でも、単位があるから学校に行かなきゃいけない。
もう今は勉強どころじゃないのに。
「おはよ!聞いてよ〜!昨日彼氏に振られちゃったぁ」
隣のクラスの女の子が大声で友達に話してる。
びっくりした。私のこと言ってるのかと思った。
たしか…あの子浅香真帆だっけ。
あんな風に言えちゃうのは、それ程好きじゃなかったってことかな。
モテる子で、よく彼氏が変わってるらしいし。
私はまだ振られたなんて誰にも言えない。
忘れちゃいなよ、なんて言葉は欲しくない。
誰かに言ったら、別れたってことが現実になるみたいで、怖かった。