決心 ?
「それはマズイよ!ユッコはまだ、自分の口で言う、勇気は無いと思うな」
2人は、急いで屋上へ向かった。
「雪子、悪いけど、今回は受け取れない!」
「ええ?今までは、受け取ってくれたでしょう!」
「今までは、今までだ。名前を教えてくれない以上、受け取る訳には、いかないよ」
工藤と遥は、2人のやり取りを、離れた所から見守っていた。
遥は両手を合わせて『頑張れ!ユッコ!』と、心の中で声援を送っていた。
「ねえ、俊ちゃん。きっとこれが最後だと思うから、お願い!」
「最後って、どう言う事だよ」
「中を読んだら分かるから!」
2人の、押し問答を見かねて、工藤が出て行こうとした。
それを『まだダメ!』と、遥が止めた。
その時雪子は、意を決して口を開いた。
「俊ちゃん、ご免なさい」
「………」
雪子の声は、震えていた。
「手紙を書いたのは、誰かではなく、私なの。本当にご免なさい」
遥と工藤は、『ヨッシャー』とガッツポーズをして、互いの手の平を合わせた。
「雪子。おまえ……」