光平さんのことを考えて過ごす日々は、周りから見れば抜け殻のようだった。
私は殻に篭っているだけなのだけれど…。
毎日、お見舞いに来てくれる真さんを見て看護士さんたちは
「仲が良くていいわね。」
と言ってくる。
「そんなことないですよ。」
と笑って返答する私。
実際に仲は悪くない。
でも、看護士さんたちが言うような「仲がいい」わけでもないだろう。
こんなに、お見舞いに来てくれる人は、珍しい。
それは、長く入院していて気付いた。
お見舞いに来る人は、週に1回2回程度だと、他の患者さんを見て思う。
だから、看護士さんたちはふざけて
「愛されているね。」
と、からかってくる。
実際、愛されていると思う。
ただ…
それに、答えていれない私。
現実に起こっていることは、私と真さんが仲がいいってこと。
心の中までは見抜いていない。
話さないのだから、わかるはずもない。
でも、真さんは気付いている。
私が光平さんを想っていることを。
私は真さんにとても残酷な想いをさせている。
それなのに、思うのだ。
光平さんの前から突然いなくなった私より、真さんが納得するまでは、このままがいいのではないかと。
私が光平さんに会えていれば、こんなに引きずっていなかったのではないかと…。
思えば思うほど、真さんへの態度はこれでいいのではないかと。
自分を正当化させていく。
本当は何が最良の道かなんてわからない。
でも、人は無意識のうちに1番いい道を選んでいると言った人がいた。
それが、本当なら、今が最良の道なのかもしれない。