人間万事塞翁が馬、人生何が起こるか分からない。 何?、昔話をしろだぁ?何で?、決まりぃ?何だそれ?、何でもいいから?ッて言ってもなぁ〜過去なんて捨てちまったし……まぁ話してやれるとしたらこんなところだ…………俺はガラクタ置き場から勢いよく車を出した。追っ手の奴等と正面から対峙する。エンジン吹かし、アクセル全開、Showの合図である爆音のような排気音のクラッカーを鳴らしパーティーはスタートした。 [男]「追いかけるだけじゃ味気ないだろ〜。楽しませてやるよッ!!」 自殺的加速で追っ手達の車に突っ込む、チキンレースの始まりだ。いきなりの無謀運転に追っ手達は慌てて道を開けた。 [追っ手]「くッ!?、何なんだアイツ!やることが無茶苦ち……!?ア、アイツは!!」一人の追っ手がすれ違う瞬間この命知らずの男の顔と信じたくない事実を認識することができた。 [追っ手]「各員に告ぐ、気を付けろ!俺等が追っているのはあの“破棄者”だ!!」 追っ手達の間に戦慄が走った。…そう、破棄者。その異名こそ俺の過去を冠(かん)するに相応しい言葉であろう。こういった仕事を始めてから今ままで依頼達成率100%を誇っている。何故か?簡単だ。呼んで字ごとく、破り棄ててきた。如何なるモノも、どんなモノも、悉(ことごと)く破棄した。………そして今も……… [男]「敵さんは3台…、取りあえずこの場から離さなきゃなんねーなぁ…」 追っ手が開けた道を猛スピードで駆け抜けた。また追いかけっこの始まりだ。だが、次の追いかけっこはさっきとは違っていた。鬼が鬼を追いかける、狩るモノが狩られるかもしれないモノを追う、そんな奇妙なカーチェイスがスタートした。追っ手達は無論銃で撃ってきた。それを曲芸じみた動きでかわす、さっきまでと別人の様なハンドルさばきに追っ手達は息を呑んだ。ヤツは本気だ!本気で俺等を破棄しようとし始めた!!恐怖が思考を駆け巡る。一台の車から恐怖のせいか無茶苦茶な銃撃がとんでいる。また、関係のない車を巻き込んでいた。横転し火が出ている。 [男]「これ以上巻き込む訳にはいかないよなぁ〜」 車のスピードをさらに上げる人通りのない場所を探し走りつづける。そう…、処刑場を探すように。
…続く