−−なんて飼い主だ。
「名前、何にしようか〜和風の名前がいいな」なんて言うから、てっきり”さくら”とか付けるのかと思いきや……
「仏像が流行りだから”しゃか”にしよう。よろしくね、しゃか!」
……捨て猫をもらってきて、よりによってお釈迦様から名前をパクるとは。。恐るべし。
まぁいいや、腹が減ったから餌をくれ。
「ニャ〜〜ン」
わざと可愛らしい声で鳴いてみた。
「名前、気にいってくれたみたい!遊ぼうね〜しゃか」
違〜〜う!
心の中で叫んでも、飼い主・三咲は腹が減っていることに気付いてくれそうな気配は皆無だ。
悲しいかな、これがすれ違いというやつか。「一切皆苦(いっさいかいく)」とはこのことよ……。
しゃかのお腹からは、お寺の鐘のような悲しく低い音が鳴り響いた。
[今回のしゃかの説法]
一切皆苦……世の中は、思い通りにはならないものばかりであるということですな。