余命4ケ月…2

向日葵  2009-07-21投稿
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あの日から、夜が嫌になってしまった…
朝になると、生きているという安堵感を感じるのと対照的に自分が生きられる時間がまた一日減ってしまったというどうしようもない恐怖感が襲ってくる…

我が家には、毎年夏になると花火大会に娘息子家族と予約して観覧するのが恒例だった…それは、娘は正月は嫁ぎ先の実家に行くし、息子は仕事柄正月がないので、唯一年一回会う行事だ。
今年は、息子夫婦に子供が産まれたので、屋外じゃなく屋内に予約をした
もしかしたら、今年が最後の様な気がした…
娘婿には、今日で最後かもしれないと思うと、言っておく事が山ほどあるから言わないといけない…しらふじゃお互い話せないだろうし、酒でも飲んで話す事にしようと決めた…

案の定、妻は私が酒を飲む事を嫌がった

「お父さん、身体に悪いから一本だけよ!」
自分では、酒癖悪いとは思ってはないが、どうやら周りから見るとかなり酒癖が悪いらしい…今日だけは、特別と思ってくれるといいが…なんせ、病気の事はまだ誰も知らない…末期の酒と思って妻は許してくれたらいいが…

娘婿は、黙って私の話しを聞いていた…外では、花火の歓声が賑やかに聞こえる…

「じいじ〜花火一緒に観ようよ〜パパとお話終わった?」

そう言って、孫の小さな手が私の洋服の裾を引っ張った…
このかわいい孫の成長が楽しみだったが、残り僅かしか見れないと思うと悲しい…小学校、中学校、その先の節目の成長が見れない、自分には時間がないと思うと計り知れない恐怖がまた襲ってくる…
息子の方の孫は、まだ生後半年足らずで私の事さえ分からない状態で逝くかもしれないと思うと、悲しい…

妻も娘も息子も、まさか私がこんな事を考えてるなんて思ってないはずだ…

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