梟は二度鳴く(9)

なつ  2009-07-21投稿
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ターゲットの家までは車で30分ほどかかった。家というより館といった方がふさわしいほど大きいのだが、ミケーロはその五百メートルほど手前で車を降りるとそこからは足で歩いた。
家は白く高い塀でぐるりと囲まれていており、塀の上には鋭い鍵爪のような歯が並んでいた。
そしてところどころに監視カメラが取り付けてある。それらはそこに暮らす人物の用心深さを物語っていた。
しかしミケーロは動じなかった。すでに資料で確認していたからだ。そしてあらかじめ決めていたポイントへ移動した。
監視カメラの死角となる特定のポイントが数カ所塀の周りにある。その中で一番ターゲットの寝室に近い場所を選んだ。
ミケーロはジャケットを脱いだ。そしてたいした助走もつけずに数歩足で塀を蹴って楽々と三メートルほどの高い塀を乗り越えた。
そして猫のように音もなく降りると、陰から陰へ移動し、館にたどり着く壁にぴたりと張り付いた。
耳をすました。人の気配は感じられない。ターゲットの寝室にはバルコニーがついていることを資料で確認していた。頭上にそれを視認すると、ミケーロはわずかな壁の凹凸に手をかけ壁を登り始めた。
彼の80キロ近い握力と高いクライミング技術があって初めてできる芸当だが、煉瓦造りの外壁は彼にとっては登りやすかった。
バルコニーにたどり着いて、ガラス戸をから中をのぞいた。
そしてミケーロは思わず心の中でしたうちした。ターゲットは寝ていなかった。



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