わずかな明かりをつけターゲットはこちらに背を向けて椅子に座り酒を飲んでいた。
しかし一人だった。
予想外の出来事は常に起こり得る。ミケーロは腹を括った。
するりと風のように部屋の内側へ入った。ターゲットはわずかにぴくりと反応したものの振り返りもせず特に気にした様子もない。
ミケーロは静かにゆったりとナイフを鞘から抜き出した。
運の悪いことに持っていたグラスにナイフが反射した光が映り込んだのかターゲットは振り返るとあわててベッドに駆け寄り枕のしたから拳銃を抜き出し構えた。しかしそのときにはミケーロはすでに距離を詰めていた。そして音もなく梟のごとく襲いかかった。
拳銃を構えたターゲットの手の指を切り落とすと、悲鳴をあげる前に口を手でふさいだ。そして喉を横に捌いた。
ミケーロは盛大に鮮血を浴びながらターゲットの口をふさいだままベッドに倒れ込んだ。
徐々に瞳から命が吸い取られていく様が映った。そして最後の灯火が消えた。
「ふー…‥‥」
ミケーロは深いため息をついた。さすがに緊張の糸が緩んだ。
「・…‥‥っ！？」
ふいに背後に人の気配を感じてナイフを構えて振り返った。
ミケーロの目に映り込んだのは闇に浮かび上がった二つのエメラルドのように深い揺らめきをもつグリーンの瞳だった。
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