少女はまたガオに問いかけ
「『ガオ』って本名じゃないよね。」
ガオはめんどくさそうに
答えた。
「ああ、そうだよ、昔親父になんかされたぽっくて、一部自身の記憶がねーんだ!!」
「記憶喪失?」
「この『ガオ』ってのは、医者がつけたんだ。
なんでも、俺見た目が
トラに似てるとか言われて…」
… …
「まったくよーネーミングセンスゼロだよな!」
「そうなんだ!」
ガオは少女をにらみつける。
「で、お前はいったい
なんでいっしょについてくるんだ。」
少女はニコッと微笑みながら、
「私、ガオ君のファンなんだよ、昔いたお兄ちゃんに似ていて!」
「それだけで付いてくるのか!?」
「なんかね、性格も目付きとかもすっごく似ていて、最初見たときは本当に
びっくりしたよ!!」
(こいつもか…………)
「で、ちょっとストーカーしてるわけ!」
そんなどうどうと犯罪行為を宣言されてもな…
隣にいる少女を見ながら、
「お前、名前なんて言うの?」
「あ、私の名前は、川島
恵理(かわしま えり)って言うんだ!あらためてよろしく!ガオ君!!」
少し歩きはじめてのころ、
前から、二人の男女が歩いてきた。男の手には、コンビニの袋をもっている。
どうやら今から俺達も行くコンビニの袋だ。
(こんな時間にデートってか?)
… …
その男女の二組は
すれ違った。
「つか、まだ6時だってのに、こんなに暑いのか!?」
ガオはつらそうに言った。
ガオはもうひとつ気になっている事を恵理に尋ねた。
「なんでお前は、こんな時間に外にいたんだ?」
恵理は少し間を置いて、
「朝の散歩!♪」
「ふ〜ん。」