階段を下りながら僕は会長に質問した返答のことを整理していた。
達也
(会長のあの返答……どういうことだろ?ひき逃げ犯は、人族?
でも……‘だった,って一体どういう意味だ?)
ヒビキ
『だったってことは、今は違うってことだよね?』
そう……自ずとそういう答えになってくる。
だが…そんな事が本当にありえるのだろうか……魔力を持たない人族が魔法使いなるなんて?
達也
(あー駄目だ!まだ情報が少な過ぎるよ!)
2階に着くと僕は教室に向かって歩き出した。
ヒビキ
『でも誰なんだろね?』
達也
(ひき逃げ犯が?)
ヒビキ
『それもなんだけど……ほら6人にいじめられていた人のこと』
達也
(事件と何か関係してるのかな?)
ヒビキは‘さぁ,と答えたときだった。
突然、前から強い衝撃が僕を襲った。見るとそこには髪を両方をまとめた見覚えのある女の子がいた。
美奈
「お兄ちゃん!どうしたの?そんな深刻そうな顔して…何かあった?」
達也
「美、美奈!こら!人前で引っ付くな!」
美奈
「う〜!心配してあげてるのに!!」
そう言うと美奈は僕から離れた。
まったくこいつは恥ずかしいという事を知らないのだろうか…
そう思っているとさっき会長が言ったことを思い出した。
‘今日は妹さんと一緒に帰ってあげることだな,
あれもまた謎だ………
なんで一緒に帰らないといけないだろう?
まぁ、別に一緒に帰るぐらいいいんだけどね。
一応、言ってみるか……
達也
「なぁ美奈。今日、一緒に帰らないか?」
美奈
「どうしたの?急に?」
達也
「いや、たまには…な」
美奈は‘うーん,と少し考え込んでいたが何かを思い出したように僕に言った。
美奈
「今日は友達と帰るって約束しちゃったの!ごめんね!お兄ちゃん!」
達也
「いや、別にいいんだ!気にしなくていいよ」
ごめんね、と申し訳なさそうに両手を合わせている美奈に僕はそう言った。
……そういえば美奈の奴、なんで僕の教室の前にいたんだ?
達也
「それよりどうしたんだ?僕に用か?」
美奈
「ううん、お兄ちゃんに会いにきただけ!」
……アホだこいつ……