なんだか分からないけど強烈な目眩に襲われて、このままだとぶっ倒れるという所まで震撼していたので、サッと目の前の服をつかんだら女の子がギョッとした顔でこちらを見てきたのだが、今は他人の事を考えている余裕もなく、悪いなとは思ったけど俺の具合の方が悪いんだからどうかつかまらせてください、と心で妙な言い訳を始めたのだが、努力の甲斐もなく床にゴッバーンと倒れてしまい、薄れゆく意識の中でギョッとした顔の女の子と女の子の縞パンとがグルングルンと高速回転しており、俺がこのまま死ぬとしても、最後の光景としては悪くないなと思った。
と思いきや右頬に何か素晴らしい衝撃が与えられて意識が戻ってきて、ギョッとしたのは俺の方だ。
「今パンツ見たでしょ!この糞野郎!」
そんなキンキンした女の子の声はマジでキレており「ギョッ顔」が「キレ顔」と化していて、すこぶる恐ろしい。
恐ろしいんだけど、また目眩が始まってなんだか視界が暗くなってきて、そのとき再び右頬に炸裂するバイオレンスが俺を目覚めさせる。
「なんとか言いなさいよ、変態!」
混乱する意識をなんとか一つにまとめあげてそれを言葉にする。
「し、縞パン…」
そして再び遠のく意識と、おなじみのバイオレンスで覚醒。これ、いつまで続くんだろう?
「縞パンて、あんた馬鹿じゃないの!?信じられない!ていうかいつまで寝てんの!」
女の子は俺の襟元をグイッとつかんで持ち上げて無理矢理に立たせてくれる。
「起きなさいよ!」
バッチーン→覚醒。
分かってきた。つまり衝撃を与えられた時だけ俺は意識を取り戻す事ができるのだ。それならばこの目眩に対する解決法が無いわけでもない、かもしれない?
「も、もっと俺を殴ってくれ!」
「え?何言ってるのよきもい」
「俺は殴られないと何も出来ない男なんだ」
「え?きもい」
あっ…意識が…
まずい、ここらへんで一発もらわないと俺は死んでしまう、ような気がする!
「し、縞パン大好き!」
「変態!変態です!」
バッチーン→覚醒。
「いいか、よく聞いてくれ」
「な、なによ急に」
「これからも俺を殴り続けてくれないか」
「え、きもい…」
「君無しでは生きられないんだ!」
バッチーン→覚醒。