ちょっとした気晴らしのつもりで 彼は飛行船に乗り込み 世界に名高い'歓楽街'へ向かっていた。
その'歓楽街'は砂漠の真ん中にオアシスの様に浮かんでいる筈だ。
もっとも 今や大陸のかなりの面積を砂漠が占めているけれども。
海と言われる水部分の面積は増しているに 陸地は砂漠化が進んでいる。
末期症状…という単語が浮かんで あまりに芸がなさすぎると彼は苦笑した。
彼はある都市に学会に出席するために滞在していたが 一日目にしてうんざりし 逃げ出す事にした。
だいたいじっと席について退屈な講演を聞いていると 右足の痛みが増して来る。
一日二日逃げ出したところで 学会の日程に影響はない…
目的地が見えて来た。
世界でも名だたる'歓楽街'の奇異な建造物群が段々とはっきりして来た。
ネオガウディな美しくも妖しいモザイクに覆われ 生き物の様な曲線を持って天に向かい乱立している建造物群。
ことさらにこの歓楽街を有名にしているのは…
実のところ 国営の高級娼館が建ち並ぶ地区である。