吉野学と白峰博は高校のクラスメイトである。
二人して共通して言えることは共にモテないことである。
今年、高校最後の夏休みに何か思い出を作ろうと二人は市内の図書館で受験勉強そっちのけで話をしていた。
「なぁ、今年どうするよ?」
「今年? もう高3だし別にいいんじゃねぇ。」
「学はそれでいいんかよ? 他の奴らは高校最後の思い出に花火大会やキャンプに行ってるみたいなんだぜ。」
「仕方ないだろ。 今の俺らじゃ彼女できる可能性はないんだから。」
学は博と話をしながらも手は動いていた。
参考書を1ページずつ進めていた。
一方、博は参考書は開くもののペンは全く走っておらず、辺りをキョロキョロしていた。
辺りには同じ高校生や他に中学生だろうかガキっぽい男女が仲良さそうに談笑しながら勉強していた。
「羨ましいな、アイツら…」
博は女に飢えてる様子だった。
「博、相当飢えてるな。 大丈夫か?」
「飢えてはいねぇよ。 学こそ女に興味ないって変だぞ。」
「はい? 俺だって女と付き合いたいよ。 でも今は別に。」
「ふーん、やっぱり学って変わってるな。」
しばらく二人の間に会話がなかった。
博は学の顔をじっと見ながら
いきなり
「学って色白いよな。 日焼けとかしないのか?」
「なんだよいきなり。 日焼けは肌が赤くなってヒリヒリするだけで…。」
「ふーん、よく見たら学って女みたいだな。」
「はぁ?」
「今夜暇だろ? 俺の家に来いよ。」
「なんで?」
「いいからさ。 今夜は両親が出かけていないし寂しいんだよ。」
「わかったよ。 今夜一緒に勉強しような。」
「勉強…。 たまには違った勉強もいいな。」
博はニヤついていた。
「なんだよ、違った勉強って?」
「違うよ。 違った勉強法ってことだよ。」
「あぁ、じゃあ今夜。」
学と博はしばらく図書館で涼んでいた。
そして―\r
時間は夜の9時を回っていた。
「ゴ、ゴメン。 メシ食ってお風呂入ってたら遅くなっちゃった。」
「準備万端だな。」
「準備? それより早く勉強しよう。」
「ちょっと待って。 勉強する前にやって欲しいことがあるんだ。」