ヤンデレ

寒明  2009-07-27投稿
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土砂降りの雨の中、私は傘も挿さずにただ空を見上げていた。
真っ黒で、何もかも覆い隠すような雲。時折瞬くは雷光はカメラのフラッシュのようだ。

流した涙も、溢れた想いも全ては貴方のせい。

絶望の淵に立たされた私はあと一歩が踏み出せずにいた。腐敗した貴方は雨に溶けながら大地へ還る。

残された骨を広い集めて優しく、そっと口づけをする。骨まで貴方を愛し続ける私は狂っているの?

今はそれしか出来ないの。
貴方を殺めたその時から私はきっと壊れてしまった。
誰にも渡したくないの。
それでも肉体は腐り落ちて、骨しか残らないとわかっていたわ。
だからこうして貴方を流すの。私も一緒に溶け合うように。互いに腐りながら一つになればきっと貴方も嬉しいでしょ?

雨は降り続き、私の命も流れ続ける。赤く染まった白いドレスに肉片の残った骨が彩る。

遠くから聞こえる鐘の音はまるで私たちを祝福するように鳴っている。

意識は朦朧として13回目の鐘の音を聞いて途切れた。

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