虹の楽園郷と聞いて、スザンヌもガーレットもうなずいた。
「虹の楽園郷って?」
ルーシーの質問に、スザンヌが答える。
「遥か通り西の彼方にある土地よ。年中暖かい所で、人形たちが小さな国を形成して暮らしているの」
ボックルが説明する。
「食い物が豊富にあるからの。人間社会に頼らなくても、自分たちだけで暮らしてゆけるんじゃ」
「だったら別に、問題ないわよネェ。エルファとディックが結婚して、そこへ移住しても」
「なーに言っとる。
あの場所はのぅ、人形なら誰でも住めるってワケじゃない。純粋な心を持った人形でないとダメなんじゃ。エルファのような怠け者や、ディックのような前科者は即、×じゃのう」
「他の場所に移り住むって事もあるんじゃないの?」
「人間社会から逃れて暮らすとなれば、そこしかないんじゃがの」
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その頃…
エルファはソッとドアを開け、辺りを見回した。
誰もいない。
マルシアもジャックも、どこにも姿はない。
「ヨシ、ミンナ…馬鹿キディヲ、捨テ行クワヨ」
子供たちに声をかけたキディ。
5、6人の子供たち…チュチュ、ミュミュ、ルアー、メメ、クク、スィーツたちは…
ロープでグルグル巻きにされたままのキディを一斉に抱え上げた。
エルファママが歩き出すと、子供たちは足並み揃えて歩き始める。
「ミャッ、ミャッ、ミャッ、ミャッ、ミャッ」
意識が無く、全く動かないキディをかけ声かけながらソロリソロリと運んで行く。
その途中…
「アナタたち、そのコをどこへ連れて行くの?」
背後からの声に人形たちは足を止めた。
振り返ると、怖い表情をしたマルシアがそこに立っていた。
子供たちはキディを放り投げると、慌てて逃げ出した。
メメを捕まえたマルシア。
掴み上げると、メメは足をバタバタさせて泣き出した!
「ウィアンッ!! ウィアンッ!! ミャミャーッ!! ミャミャーッ!!」
激しく抵抗するメメ。
そこへエルファがやって来て、持っていたサバイバルナイフでマルシアの背中を刺した。
悲鳴上げるマルシア。
よろめいた弾みで、メメを落とした。
エルファはナイフで背中を何度もメッタ刺しにする。