エルファは弾みで後ろへはね飛ばされた!
後方の傍聴席を乗り越え、壁がぶつかって床に転がり落ちる。
慌てて席を離れた傍聴人たち。
エルファはグッタリとなった。
「エルファッ!! 愚か者めがッ!!」
ボックルは普段は見せない怒りの表情で、エルファを睨み付けた。
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2日後、エルファは人形工房の処分場で廃人形処分機にかけられて、バラバラに粉砕された。
「ウーギィアァーッ!!」
エルファの断末魔の叫び声が聞こえて来る。
今度はチュチュ、ミュミュ、ルアー、メメ、クク、スィーツたち6人の子供たちが次々と処分機にかけられてゆく。
「ウィアンッ!! ウィアンッ!! ウィアンッ!!
ウィギィアァーッ!!」
子供たちの断末魔の叫び声である。
人形たちの騒動は終わった。
エルファと6人の子供たちの粉砕遺体は鉄の箱に入れられ…
見せしめの為、人形工房のPR展示室で箱のまま展示された。
ジッと遺体を見つめるのがディックと、3人の小さな子供人形を抱いた女性人形である。
エルファが裁判にかけられ、死刑にされると聞いてやって来たのだ。
何も言わず、ディックは立ち去ろうとした。
すると、目の前にルーシーが立ちはだかった。
「お、ルーシーじゃねえか?」
ルーシーと、思わぬ顔合わせにディックはビックリする。
クールな眼差しでディックを見つめるルーシー。
「エルファの最後を見て、どんな気分?」
しばし、間を置いたディック。
ルーシーと視線を合わせずに語る。
「悪い事しちまったんだろう? 仕方ねえよな」
「でも、大切なフィアンセが死刑になってしまったのよ。ショックじゃないの?」
「別に、どうもねえよ」
「へえー」
意外な返事にルーシーはビックリした。
でも内心では、ある程度は予想していた事だった。
ディックはしかめた顔で言葉を続ける。
「フィアンセ、フィアンセ…って言うけどよ。
オレはエルファとの結婚の約束をよ、解消しようと思ってたんだ」
「そのコと一緒になる為でしょう?」
ニヤリとするディック。
「流石、ルーシーだな? 情報が早いぜ」
やはり、そうか。