ビルの10階 角部屋
東向きの窓からは、人身事故多発の快速電車が見える
隣りの部屋は冷房の効いたリビング
流しで水がシンクに落ちる音が微かに聞こえる
ギシギシと鈍い音のするベッドにジャンプして仰向けになる
枕が呼吸を妨げる
ううん、私が息を止めてるのかも
ぐるっと半回転して天上を見上げる
これが私の世界
『………退屈…』
春風が吹く
明るくそして切なくピンク色の紙吹雪が飛ぶ
心が割れ、片割れが去っていく
痛みにも似た葉脈が伸びていくのを何もしていなくても感じる
必死だ
続く…