ハァ、ハァ、
溢れる想いを胸に、教室へ駆け込んだ。
そこに居たちさは、僕をみつけて
「うぅ…っ!トーマ…」
どうした!?
「蓋が開かないぃ…」
がくぅーーーーーー…
ちさは、染料の入っている容器の蓋を握りしめて僕に言った。
「どれ?貸して」
ちさから容器を受け取る。
意気消沈…
うりゃ!
と、蓋を開けて、ちさに渡す。
「何するの?」
「ありがとう。うん、絵を描こうと思って」
「絵?」
「うん。みんなの肖像画…」
「そっか」
教室には、西日が差し込んでいた。
「ロビーの…作品見てきたよ」
そう言う僕に、
「…初めて大掛りな彫刻に挑戦したから、時間かかっちゃった」
「………」
「………」
「今日、アトリエには?」
「………行かない。少し、休んでもいいって志田さんが…」
僕は、また1歩、踏み出そうとしてる。
「…それなら…。今日は、一緒にいよ?」