最後の賭けに勝った。
修二は足を抱えた状態で、佐藤の残った右足が思いの外前に来ていたことに気が付いた。
そう、ちょうど足が払えるくらいの位置に。
佐藤が宙を舞う。
必死で体勢を立て直そうとしている。
修二はその動きを封じるようにした。
悪い。
これで決めなきゃなんないんだ。
バァン!!
審判の声に耳を澄ました。「技ありぃ!!」
審判が叫ぶ。
「よっしゃ、修二後十秒!!」悠が叫んだ。
佐藤が寝技にきた。
これで捕まったら終わりだ。
寝技に引き込もうした足で体が浮きそうになった。
浮いてたまるか!
修二は必死で地面にくらいつく。
佐藤は必死で返しにくる。
ピィー!!!
「それまでぇ!!」
その声を聞くと同時に悠達が歓喜の声を上げた。
「っしゃあ!!」
定位置に戻り、審判の手が上がった。
互いに礼をする。
両校のメンバーが整列する。
再び礼。
試合畳を下りた。
「最後のスゴかったぞ。」
賢之助が言った。
「マグレだよ。」
修二が笑う。
少しの会話とさっきの試合について相葉先生とみんなで話し合った。
「嘉谷くん。」
その声に振り返ると、佐藤が立っていた。
「なんかようですか?」
「俺達、正台高校はここ数年、強豪校以外に負けたことがなかったんだ。今日、この数年で初めて負けたよ。シードじゃない高校に。」
佐藤が少しわらいながら言った。
「それで、結局なんの用なんだよ?」
修二が少し強い口調で言った。
「別にマイナー校に負けたことが恥ずかしいとか、そういうわけじゃないんだ。それはこっちの情報収集の怠りもあるから。だから…」
「なんだ?」
「正台高校は今後、本山高校と練習試合を組みたいと思ってる。そのときは、時期キャプテンの俺と顧問で許可とるから、そのときはまた、お願いします。」
佐藤が一礼をした。
「楽しみにしとく。」