時と空の唄14-9

花神ミライ  2009-07-28投稿
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うんうんと考えを巡らせること数分。
結局良い案は浮かばないままだ。
そんな時、雪が思い出したように声をあげた。
「神器!神器ですよ!」
興奮して神器神器と繰り返す雪にランスォールとラウフは顔を見合わせた。
「雪、神器がどうしたんだ?」
「だから、神器を配置してあげればいいんですよ!」
なるほど。
確かにそうすればこの状況は打開出来るかもしれない。
ランスォールはカロウドとシーラの血が残る剣をとった。
血が付いていない部分の刀身は冷ややかなまでの鈍い銀の光を放っている。
そして静かにそれを水溜まりに浸した。

すると水溜まりから蛍が舞うように紅い光が漂い始めた。
紅い蛍はランスォールたちの周りをヒラヒラと舞ったあとカロウドの中に消えた。
「光が…カロウドに?」
「見ろ、また光が…」
ラウフが言い、彼の指す先を見るとカロウドから紅い蛍と蒼い蛍が昇っていた。
「蒼も混ざりましたね…」
何が起こっているのかわからないまま三人はただ成り行きを見守るしかない。
辺りは静寂が支配している。
二匹の蛍は螺旋に回転しながらしばらく宙を舞っていた。

やがて蛍は吸い込まれるようにしてシーラの中に消えていった。
「蛍が…」
「シーラの中に…」
それきり蛍たちがシーラから出てくることはなかった。
再び、辺りは静寂が支配した。





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