カケルはすぐに解放された。詰め所から外にでると、太陽が眩しく照らしてきた。詰め所の天使達にバイクの修理と今日の宿をお願いすると心よく聞いてくれた。だからカケルは町を散歩することにしたのだ。
町のなかでは笑いや子供達のはしゃぐ声が飛び交い、軒を連ねて露店も出ていた。何か買いたいわけじゃなかった。ただ、ぽっかり開いてしまった心の穴に何かで蓋をしたかった。
「ど〜したんだい？にいちゃん」歩いていると突然声をかけられた。見た目は中年で少し太ったの露店のマスターだった。
カケルが戸惑っていると、「あぁ〜…なんなんだその弱々しい心剣はぁ〜」見れば、甲冑も胸当てが鉄から革になり、膝当ても革。
剣は神々しさを失い、鍔の飾りはどこえやら…昔の名もない侍が差していた無銘の刀のように普通の刀になっていた。
「そんな…俺の剣が…」
「何があったのかはしらないが…そんなナマクラじゃ、夢魔も切れないぜ」
カケルは言葉を失っていた。
気がつけば詰め所の部屋にいた。どやって帰ったのか、何故帰ったのかも覚えていない…空には星が輝いていた。そしてカケルの腰にはナマクラ刀があった。
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