ほんの小さな私事(56)

稲村コウ  2009-07-29投稿
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地域資料コーナーは、カテゴリーの最初の位置になっていて、館内の端の辺りの本棚がコーナーとなっていた。
一応、ある程度の本や、過去の卒業アルバムなどが並んでいたが、ここを利用する人は少ないのだろう。この場所は、他の場所に比べて薄暗くなっていた。
勿論、この場所にも照明は設置されているのだが、今は電気がついていない。
照明のスイッチを探してみたが、それらしいスイッチは見当たらなかった。それでも、本棚を眺めるのには、不自由しないぐらいの明るさはあったので、私はそのまま、コーナーの本棚を見てみる事にした。
卒業アルバムも少し気になったが、今はそういったものより、ここの地域がどんな場所か、そして、歴史的にどんな感じの出来事が過去にあったのかなど、そういった事が書かれていそうな本を探してみた。
そんな時、幾つか並んでいる本の中に一冊、背表紙の文字が薄れて消えかかっている本に目が止まった。
『あら…この本、タイトルが無いけれど…。』
そう思いつつ私は、その本を本棚から取り出してみた。
その本は表紙も同様に煤けており、本文が書かれている紙も茶色くなっていて、かなり古い書物である感じだった。
かすれた文字を読むのは困難なので、何はともあれ表紙を捲ってみる。するとそこには、墨で書かれた旧書体の文字があり、『操気方解説之書』というタイトル付けがされているのを何とか読む事が出来た。

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