「しょうがねぇ。掴まってろよ。」
龍吾は残りの力で僕をおぶった。
「…みーくん。掴まってろよ。…返事ねーか。」
龍吾は最後の一手に出た。オレなら逃げれる。
みーくんを守れる。
そして、一目散に逃げた。いや、死にもの狂いだったかも知れない。
「みいつけた。」
背筋が凍ったが、立ち止まってはいられない。
でも、振り返ってしまう自分がいた。
すると、みーくんの口が微かに動いていた。
「えっ?」
その声は微かだったが、龍吾にはしっかり聞こえた。「早く逃げて。」
よく見てみると、あいつはバットの他に包丁を持っている。
龍吾は逃げた。
追いかけてくるが、龍吾はただ真っすぐに前を見つめて走っていた。
なんとか家に着く。
もう夜の9時30分を回っていた。
「ただいま。」
龍吾はもう疲れ切っていた。
静かにみーくんを降ろす。龍吾はずんずん進んでいき、
「姉ちゃん。みーくん連れて…」
リビングに行くと
テーブルに横たわっている姉ちゃんがいた。
「おかえりなさい。」
「どういうことだよ…」
テーブルや床には、酒の缶やボトルなどがたくさんあった。
一体なぜ…姉ちゃんはまだ17だ。
「ねえちゃん?」
龍吾はリビングを歩いていく。
「おい…酒飲んでんのか?」
姉ちゃんは無視した。
「おい。まだ二十歳になってねえだろ!」
「あんたには関係ないでしょ。」
「姉ちゃん?」
「出てって、早く。」
「おい!オレは心配して言ってんだよ!」
姉ちゃんは既に冒されていた。
アルコール中毒に。