彼は３８歳。独身。フリーで仕事をしていて、そこそこ成功している。
２４歳になる恋人がいる。
ふたりが付き合い始めて２年半。
当初彼なり女はいわゆるいい女ではなかった。
髪型も服装もあまりぱっとしなかった。
それが見る見るうちに魅力的な女へと変化をとげた。
仕事も積極的に取り組むようになり、会社での評価も今は高い。
店長として新店舗をまかせたいという話もでている。
彼は当時恋人と娘の両方が同時にできたようで毎日が楽しく充実していた。
交際相手を自分好みの女性に育てたい。あるいはそういった恋愛を当時の彼は理想としていた。
彼はエゴイスト以外の何者でもない。
年令からして結婚して子供が二人くらいいてもおかしくはない。
彼の本能が無意識のうちに合理化されて一人の女性を恋人として、娘として理想の女性に育てるあげるという一種創造的衝動を禁じえなかったようだ。
もちろん結婚やパートナーの出産というプロセスを免れたうえで・・・・
精一杯の彼なりの愛情を注ぎ込んで彼女と付き合った。
そして彼女は美しくなった。
彼のプランはほぼ完成に近づいていた。
芸術作品は作者の手から離れ世界に広くひとり歩きをはじめたとき、まさに魂を吹き込むことに成功したことになる。
彼女は他県の新店舗へひとり赴任する決心をした。
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