ポジティブ・アクション6

ミッシェル  2009-07-30投稿
閲覧数[616] 良い投票[0] 悪い投票[0]


メアリーはうずくまる男にそう吐き捨て、迷わず目の前のタクシーに乗り込んだ。

「ありがとう運転手さん」

「怪我はないかな?」

心配そうにスティーブは彼女に尋ねる。
「大丈夫よ。でも‥凄く怖かったわ‥」

それを聞き、スティーブはバックミラーから彼女の様子をうかがった。

メアリーは体を震わせ、とても不安げな表情を浮かべている。

「帰りはいつも1人なのか?」

スティーブが尋ねる。

「えぇ。そうよ」

まるで当たり前の事のように答えるメアリーに、スティーブはあきれかえりながら言った。

「たくっ。只でさえ治安が悪いって言うのに、あんたみたいな若い女が夜1人で歩いて見ろ。狙われるに決まってるだろっ。ここら辺なんて、頭のイカれた連中ばかりだ。気を付けないと、最悪の場合命を落とすぞ!」

スティーブのその言葉を聞き、メアリーは驚きのあまり口を開けながら呆然とスティーブを見つめる。

スティーブは続ける。

「まあとにかく、暗い夜道を1人で歩くのは絶対に止めろ。過去にそうやって殺された女を俺は沢山知っている。だから、俺はあんたみたいな女を見るとほっとけないんだよ。さあ、どこで働いてるんだ?仕事の帰りなんだろ?」

「そうよ。レストラン『VANESSA』でウェイトレスをやっているわ」

「VANESSAか。よし分かった。帰りは危険だ。仕事が終わったら、俺が自宅まで送ってやるよ。まあ、金は貰うがな。ははっ」

それを聞き、メアリーは少し顔をしかめた。

だが、車を持たないメアリーにとって、帰りの夜道はスティーブの言う通りとても危険だ。

何時命を奪われてもおかしくはない。

それだけこの街は治安が悪いのだ。

「うふっ、ありがとう運転手さん。じゃあ宜しくね」

メアリーはそう言って、スティーブに微笑んだ。


続く



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ミッシェル 」さんの小説

もっと見る

アドベンチャーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ