「そ、そんな…」詰め所にいた天使…眼鏡をかけた、カケルに事情聴取をしたあの天使だった。
慌てて駆け寄るカケル。「グバッ…はぁ…うっ…はぁ…い、今さら…遅い…」心臓に刺さったカケルの刀を抜くと、カケルに投げ付けた。しかし、力無く落ちる。「そ、そんな…」
「なかなか…君は強いね…」眼鏡の下の顔は笑っている。さっきとはまるで別人だ。「どうしてそんな…」「き、君はゼウス様に呼ばれたんだろ…つ、つまりそれを、よく思っていない…神様もいるのさ……」
「……」「君は強い…私の…心理作戦で…弱くなってしまった心剣でさえ、私を倒した…光元老の孫はさすがだよ…」カケルにはどうする事もできない。血は止まる事なく溢れてくる。
「私は敗れた…しかし、最後まで戦士として死ねるなら本望だ…」ニッコリ笑う天使の体がゆっくり消え始める。「こ、これからさきも…き、君は狙われるだろう…しかし、…君なら…を乗り切れ…るだろう…」
「…」溢れてくる涙がとまらない。「こんな…私に…泣いてく、くれるのかい……ありがとう…」すぅーっと光が天使を包み…やがて消えた。とまらない涙が渇いた大地に注がれて行った。