−放課後−
終礼も終わり帰り支度をしていた僕に隼人が話しかけてきた。
隼人
「達也、新しい情報を手に入れたぞ!」
達也
「どんな?」
僕は、かばんに教材を入れながら隼人の話に耳を傾けていた。
隼人
「ひき逃げにあった6人は誰かをいじめてたらしいだよ」
達也
「知ってるよ」
隼人
「なんだ知ってたのか…でもこの情報は知らないだろな」
かばんに教材を入れ終わると僕は隼人の方を向いてその情報を聞くことにした。
隼人
「6人のうち4人が3組でな。その3組の生徒の一人がひき逃げ事件が起きてから学校に来てないらしい」
達也
「その生徒が犯人って言うのか?……で、その生徒の名前は?」
隼人
「確か……関口隆志(せきぐち たかし)……だったかな」
その名前を聞いたとき頭の中で何かがひかかった。
この名前……どこだっけ…どこで聞いたんだっけ?
ずいぶん最近に聞いた覚えがあるような……
達也
「なぁ、そいつの写真とかないの?」
隼人
「そんなのねぇーよ。でも図書室に行ったらどうだ?
今年のクラス写真があるんじゃないか?」
達也
「あっ…なるほど」
そう言うと僕は隼人に別れを告げ、かばんを持って1階にある図書室へと向かった。
1階に着き、図書室の中に入ると僕は今年のクラス写真が載っている本を探した。
達也
「えーっと……どこに………」
ヒビキ
『達也!ここにあるよ!』
ヒビキが見つけた今年度のクラス写真を僕は見た。
達也
「2−3…2−3……あった!」
お目当ての写真を見つけると名前の一覧を見て関口隆志の名前を探した。
ヒビキ
『達也!いた、この子だよ!』
達也
「あっ!…こ、こいつ!」
ヒビキ
『知ってるの?』
達也
「知ってるも何もこいつ、美奈に告白した奴だ!」
ヒビキは少し驚いてその事を聞いてきた。
達也
「美奈の奴がこいつに告白されて返事を返す時に見たんだ」
その時、僕の頭の中で嫌な考え浮かんだ。
もし、関口がひき逃げの犯人だとしても…いや……まさか…な…
僕はその考えを掻き消したが不安は消えないままだった。