リレー小説「楽園」:ゆな

ゆな  2009-07-30投稿
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第二部【楽園】
◆第一話◆

時が止まった中でムクは迷いなく歩き出しました。

前はムクだけの時間が止まっていました。

今度はムクと道化師の時間だけが動いています。

ムクはそのことを不思議にも恐怖にも思いません。

ただただ、おばあさんが動かない悲しみとおばあさんの言った言葉の通りに、小石のスベテと道化を探しに歩きました。

きっと時間や言葉の持つ者は何処へ行けばいいのか悩むのでしょう。

しかし、ムクは違いました。

道化の行き先を知っているかのように歩きます。

光の導く「南」へ。

時間が止まっているのですから、太陽も止まっています。

昼なのか夜なのかもわかりません。

でも、ムクは気にしません。

疲れたら休むだけです。

太陽に向かってムクは歩きながら小石のスベテに話かけました。

「私はムク。

スベテは大切。」

すると

「あら!

珍しい!

まだ私と話せる人間がいたのね−!?」

ムクは驚きません。

「スベテ、よろしくね。」

と挨拶をしました。

驚いたのは小石のスベテでした。

よろしくね、とスベテが返事をするとムクはニコニコ笑い返しました。

小石のスベテは名前の通り全てを知っています。

でも、ムクには何も語りません。

いえ、語らないのです。


ずっと光のある方へ、昼間の道をひたすら「南」へ行くと海辺と辿り着きました。

そうです。

おばあさんと初めて出会った海辺です。

海辺で少しおばあさんとの楽しい日々を思い出し勇気が湧いてきたムクですが、ムク本人は気付きません。


波も風も太陽も止まった時の中でムクは少し悩みました。

(海を渡る…)

そう。

太陽は海の向こうにあるのです。

光のある方へ向かうムク。

どう行けばいいのかスベテに聞くのは簡単なことでしょう。

でも、ムクは聞きません。

スベテも何も言いません。

すると、ムクはスベテが驚く行動をとったではありませんか。



◆終◆

第二話へ続く



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