その日は朝から雨が降っていた。
壮大(そうた)は、2‐5
の教室から外をながめていた。
外の景色は色あせ、遠くの山の輪郭は消えうせていた。
「どうした?そうちゃん」
壮大は振り返るなり
顔をしかめた。
「なんだ、おまえかよ」
「まぁそう言うなって」
これは二人の挨拶のようなものだった。
彼の名は太一と言う。
「・・で、どうだった?」
「あぁ、バッチリさ」
そう言って胸ポケットから、手帳をとりだした。
彼は地域の噂や伝説にやたらに詳しかった。
「一回行ってみたんだけどさぁ・・・あれはヤバいぜ。」
「出たのか?」
彼は手帳をめくる手をとめた。そして壮大の耳元 でささやいた。
「全然出てこなかったぁ‐
はっはっはっ!」
今、彼らの間では心霊関係のことがブームだった。
「耳元ででかい声だすなよ。ならもう一回行こうぜ。その幽霊トンネルに」
「なら、後悔すんなよ?」
壮大は自分に待ち受ける運命をまだしらなかった
続く