初めて会ったのは乙羽の働く病院だった
雅人の元カノが看護師をしているのは知っていたが
まさか自分が入院する病院で働いているとは…
雅人は同い年の従兄弟
乙羽の話は聞いたことがあったが
会ったことはなかった
話しかけてきたのは乙羽のほうだった
「…あの…佐原さんってもしかして雅人の?」
そう聞かれただけで貴はピンときた
「もしかして…?」
「うん!もしかしてだよ〜。雅人からよく話きいてたよ。初めましてだね。」
雅人とは別れたにもかかわらず、従兄弟だとわかると表情が変わり
まるで昔からの知り合いのように話しかけてきた
貴はそれが無性に嬉しかった
乙羽は看護師のわりに地味な感じで
化粧も薄く
笑顔がさわやかで話しかけやすかった
(タイプじゃないけど、合コンの伝手くらいにはなるか)
そんな軽い気持ちで
貴は乙羽に近づいていった