龍吾はテーブルを蹴った。それと同時に僕は目を覚ました。
「龍吾…助けてくれたんだ。」
僕はリビングへと歩いていった。
「おっ…おぅ。起きたか。」
龍吾は僕に近づいた。
「頼む。廊下行っててくれ。」
「え?」
「いいから。」
そして僕を無理矢理廊下に戻らせた。
そして…
「姉ちゃん…。」
「いいから。あっち行ってて。」
「姉ちゃんオレは!」
「私は!…お母さんが死んで、龍吾をちゃんと育てていけるのか心配だったの。私悩んで悩んで…。」
「…だからって姉ちゃん。酒に走るって…」
「…ごめん…」
「大丈夫。オレ、姉ちゃんに心配かけないから。…だから、病院行こう。アルコール中毒かも知れないし。」
「…そうね。」
と言って姉ちゃんは部屋を出ていった。
龍吾は廊下の方へ向かった。
「待たせてごめん。」
「いや。」
「オレの部屋行くか。」
階段をあがっていく途中、僕は本当の龍吾の気持ち、家族の現状が分かっていたけど、口に出さなかった。日に日に友情を深めていった2人だったが、この日から少しずつ離れはじめていった。
大丈夫。いずれ分かってしまうこと…
あの喧嘩のカウントダウンが…始まった。
龍吾が先に入って部屋の明かりをつけた。
「6月なのに夜は寒いなぁ。」
「かといって夏も嫌いなんだけど。」
その答えに龍吾は反論した。
「へー。いーじゃねぇかよ。プールとか…海とか…」「じゃあ龍吾って?」
2人は顔を見合わせて…
『夏男。』
「気が合ったね。」
笑いが絶えなかった。