拓也『さてと、なんとかしなくっちゃな』
恐怖がピークを過ぎると逆に冷静になるのか。五月蠅いくらいに激しい鼓動も他人ごとのように感じる。
長所は短所。こういった輩には何かしらの弱点があるはずだ。
拓也『音だ。奴は移動するときに必ず音を発する。つまり音を頼りに動けば暗闇の中でも十分に戦える』
竜一『音を頼りにしても意味ねぇよ!戦えないだろが!』
言われてみればそうだ。漫画のキャラではあるまいし、こちらに戦闘力は無い。
舌打ちをして怪物を睨み付けた。
竜一『え?』
ごきゅり。
拓也『お…おい、竜一…?』
竜一の首がヤブァイ方向に曲がっている。竜一の眉間があるべき所に口がある。
ドシャ
竜一が倒れた。
よくみればあの怪物はいつの間にか俺の真後ろ、竜一のいた方向にいる。
拓也『お前の弱点がよぉ…今分かったんだ、今頃分かるなんて…』
何故こんな怪物が昼間に目撃されなかったんだ?
あいつは夜行性だが、光りに弱いってことだ。
ぞぶり。
肩に深々と何かが刺さった。
拓也『いてぇ…』
怪物のカマキリのような尖った腕が肩に刺さった。
血がドクドクと流れ出る。