「あかね。ごめんな。」
その言葉を残して、達也は私の側から離れた。
春香と一緒に、転勤先の九州へ行くからだ。
私は二股をかけられていた。
その事は知っていた。
でも、達也を責められなかった。
多分、最後には、私のところに戻ってくると思っていたから。
その考えが甘かった。
もっと感情を出せば
達也は私を九州へ連れて行ったに違いない。
別れることはなかった…。
後悔ばかりが頭の中を掛け巡った。
なんで、今、偶然に春香に出会ってしまったんだろう…
春香にだけは会いたくなかった。
出来れば、達也に逢いたかったのに…。
別れた後は、毎日が涙だった。
新しい恋をしようとも思わなかった。
達也をまだ好きだった…。
今もまだ、忘れずにいた。
仕事が忙しくなり、ようやく忘れる事が出来そうだったのに………。
なんで、春香なんだろう……。
達也じゃなくて、なんで……。
………もう最悪だ………。
また、前みたく、思い出してしまうのだろうか…。
私は春香にまた悩まされるようになるんだろうか……。
不安ばかりが胸に響く。
このまま、眠っていたい…。