奇跡 2

木村蜜実  2009-08-02投稿
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「あかね。ごめんな。」
その言葉を残して、達也は私の側から離れた。

春香と一緒に、転勤先の九州へ行くからだ。

私は二股をかけられていた。

その事は知っていた。
でも、達也を責められなかった。
多分、最後には、私のところに戻ってくると思っていたから。

その考えが甘かった。

もっと感情を出せば
達也は私を九州へ連れて行ったに違いない。

別れることはなかった…。

後悔ばかりが頭の中を掛け巡った。

なんで、今、偶然に春香に出会ってしまったんだろう…

春香にだけは会いたくなかった。

出来れば、達也に逢いたかったのに…。

別れた後は、毎日が涙だった。
新しい恋をしようとも思わなかった。

達也をまだ好きだった…。

今もまだ、忘れずにいた。

仕事が忙しくなり、ようやく忘れる事が出来そうだったのに………。

なんで、春香なんだろう……。

達也じゃなくて、なんで……。

………もう最悪だ………。

また、前みたく、思い出してしまうのだろうか…。

私は春香にまた悩まされるようになるんだろうか……。

不安ばかりが胸に響く。

このまま、眠っていたい…。



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